城南

記録を許さない美術館が消すもの

風呂
COTA

美術館は作品の撮影・記録の禁止から目を覚ませ

美術館で写真などの記録を撮ることについて疑問を持っている人もいる。特に日本の場合はiPhoneなどのスマホ(携帯電話)にシャッター音が設定されていることもあって、作品をみているときにシャッター音がすれば気が散るということは俺も同じだ。しかしシャッター音の機能は盗撮防止のために設定されたものであり、美術作品の記録の話とはズレるのでここでは広げない。

個々が分散して作品の記録を持つことには意義がある

同じコピーの記録を持っていたとしても、そのものをどういった文脈で使うかは人による。まず記録をしようと思った時点で現地では論理的に説明できなくとも、その人の感情を動かしたものがあることは確かだろう。

その記録をしたいという記録が芽生えた感情の背景は人それぞれだろう。作品は人それぞれの見方があって初めてそのものの価値を生む場合も多い。

だからInstagramのストーリー(携帯電話のSNSアプリ)に載せることが目的であっても、その人にはその考えや感受性の背景がある。そしてそれはその人の個性であるだけでなく、それらもまたその時代の視点を考える上でやがて重要な時代背景となっていくだろう。

元の作品のコピーを持っていることは自立した考えを作る

特に日本ではアイデンティティを司るキャラクター文化(個性の文化)では作品のコピーは手元にあると個性を育むきっかけを作りやすい。これは作用としてはとても面白い。同じコピーを持っていても、そのことによって「自分ならこう考える」という新たな創造性の方向へと持っていってくれる可能性を秘めていることになる。

「フラッシュで作品を傷める悪影響がある」という文化を物理的に保護したい気持ちはわかるが、一方で人々がその作品に価値を持っていなければそもそもその作品がある意味が薄れると考えている。もし大衆の感情が後回しになることによって、その作品の意味が薄れた結果として、そこからしばらくの歳月が経って破棄・紛失されるような事態に発展すればそこそ悲しいではすまない損失だ

美術館がアーティスト気取りのライブ会場か?

俺は撮影を一部ならまだしも一切認めない美術館はミュージアムとしては認めないので、サイト上でも博物館・美術館には分類していない。作品は投資的な意味で保有する面ももちろんあって、それによって作品が保たれてきた面もあるだろう。そこは否定しない。しかし美術館は作品の保有で自我を保っている「所有館」なのか、作者・作品を本当の意味で守りたいのか、今一度考え直してほしい。

アーティスト・クリエイターは資産家のパトロン(お金を支援する人)の存在に支えられた反面、金の駒になってきた反面がある。永遠という保証のない資本主義などの経済とも距離を置いて、直接的な金銭享受との分離も作品を尊重する美術館のできることだろう。

売り物にしてないなら、その見せ方だけで勝負に足るものか

もしその美術館が作品展示を売り物にしていないのだと主張し、つまりそれはその場のパフォーマンス・体験を提供する商売だというのなら、そのご自慢の「見せ方」にそれだけの完成度を満たしているのか問い直さないといけない。

結局は創作者の作品なしには語れないだろう。性質はかなり違えど音楽ライブでは同じ「アーティスト」のその一瞬を盛り上げるためにも、視覚・聴覚を満たすためにライティングエフェクトから構成、タイミング、映像、パフォーマンスから語りと様々な工夫がある。

美術館は学芸員の手腕が素晴らしいと思うこともある。しかしまさにそれだけに委ねられ、構成や見せ方・規模感への妥協が当たり前な空気も合間って、美術館への敷居の高さを感じさせるものになっているように感じてならない。

美術館にライブ会場は求めていないから、

改めて言っておきたいのは、これが全員に記録を許し、議論を活性化させたり新たな創造へと繋ぎやすいような方向に持っていっているのならこのような話はしない。という以前に当然だが、そもそも美術館にライブのようなパフォーマンスは求めていない

記録を許さない美術館そのものが二次創作アーティスト気取りで悦に入っているのは保護をするという使命を忘れていてみっともない。アーティストの作品を扱いすぎて感覚が壊れているのだろうか。疑問を持つことがないのだろうか。

欲望が透けて見える「展示場」

展示する美術館は、作品の保有者へに来場者が記録することへの可否の個別の確認作業も大変だろうが、撮影禁止の美術館には人間の欲望が透けて見えてしまう。

そして記録の禁止は技術への冒涜にもなる。記録やコピーすることが困難だった時代の文明を否定的に捉えかねない。物理的な作品保護という一本槍な理屈で、目先の失うことばかり気にとられているようでは文明は作られない。その美術館の存続が作品の所有だけに掛かっているというのなら、それは見る側や収益の問題ではなく運営やあるいは国や県や行政の認識不足・連携不足だ。

視覚思考者にとっての美術館の重要性を機関に訴えたりその重要性を教育に結びつけることも……それこそが、大切な作品を通じた美術館の重要な仕事であるはずだ

展示室のガラスの奥ばかりではなく、手前を見ているか?

美術館は作品を展示・保護・研究をする場でもある。

一方で来訪者の価値観にも作品同様に目を向けないといけない。なぜならその作品を展示するガラスの奥ではなく、手前にもこの時の人は何に関心があり、今という時代がやがて未来に文化・文明となったときのための大切なデータがある。

それらがやがて、いつかの創造へと繋がる
あなたたちの大切な作品があるガラスの手前から、新たな創作者が産まれることを忘れるな

今回の背景

今回はお誘いでサントリー美術館「激動の時代 幕末明治の絵師たち」の展示へ。西洋画の質感や表現を日本画のものとしていく過程で追えた。

今回も撮影禁止(一部展示物以外除く)が続いているのはせっかく手元に記録できる端末がある時代になったのに、文化保護より営利優先で保護意識の低さが目立つのは日本の残念なところで全ての良さを打ち消す。これらは同美術館に限らず、それぞれ事情があることは解りたいが、他者より囲い込みの自己で突き進むと長い年月では業界自らの首を絞めるどころか滅亡させることになる。日本の美術館は核心を忘れ去り表層だけインテリの固く静かな冷たい見世物小屋に堕ちていいのか。これほど魅力ある日本画が感覚と師弟関係・門下制度をとり、理論思考と広めることに重きを置いた西洋のデザインに世界のステータスを取られた歴史の再上映を望みたいようだ。

過程で追えた点は素晴らしく受け止めやすいこともあり、例えばモチーフが東海道53駅などかぶるものがあったため、だったら同じ「地点」としても現在の街の似た場所の映像とともに変遷を辿れたら面白かったのにと思うこともある。

とらやに本来の美術館を見た

その後、同じく東京ミッドタウン内にある とらや東京ミッドタウン店ギャラリーの企画展「はじめて知る銭湯」で銭湯文化を見る。いつもなら取り上げることもないが、同じ日本文化でもサントリー美術館の展示以上に生活に密接な面で見せてくれ、個人的な受け止めやすいのりしろが大きく興味深かった。小さいギャラリーながら展示手法も情報デザインが綺麗にまとまっていて良い。まるでミュージアムのあるべき姿のようだ

サントリー美術館 「激動の時代 幕末明治の絵師たち」

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